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アトラスコプコグループの年刊発行誌
Sustainable technologies
カスタマイズを実現するイノベーター
アトラスコプコの高圧ボイルオフガスコンプレッサは、好況産業である液化天然ガス向けに専用開発された革新的な製品です。この製品により、世界的な脱化石燃料化が進む中、石油よりも安価、高効率、持続可能な燃料である、液化天然ガスの可能性が高められます。
液化天然ガス(LNG)の世界規模の取引が急増しています。化石燃料ゼロの未来を目指して、世界が徐々に石油への依存から脱却する中、天然ガスは安価でクリーンな燃料として、この10年で重要性が高まってきました。Forbesによると、現在、天然ガスは世界の主要なエネルギー消費量の約25%を占めています。近年、以前は天然ガスの輸入国であったオーストラリアや米国などが、LNGエネルギーの主要な輸出国となっています。
しかし、南米/北米アトラスコプコ・ガスアンドプロセスのマーケティング/セールスマネジャーを務めるタッシャー・パテルは、LNG業界は、コスト効率と持続可能な成長の課題に直面していると述べています。
「LNGは非常に競争の激しい市場であり、新たなプレイヤーがこの分野に続々と参入しています。また、価格は市場力学によって決定されるため、生産業者が利益を確保する唯一の方法は、生産工程を効率化するか、LNGの輸送コストをできるだけ下げることです。主要市場から地理的に遠く離れている米国のような供給国の輸送コストは高額となるため、コスト削減の唯一の方法は、初期投資とランニングコストを下げることです」と彼は説明しています。
そのため、LNGプラントではコストを最小限に抑え、設備の効率を最大限に高める方法を常に模索しています。この中で最も重要なプロセスの1つは、「ボイルオフ」ガスの圧縮です。
LNGは基本的に、海外やパイプラインがない場所に安全に輸送できるように液化されたメタンガスです。問題は、液化後にLNGを貯蔵するタンクと配管の断熱です。断熱材は、大気圧で-155~-165℃の温度を維持するのに最適ではないため、液体は沸騰し、気体に戻り始めます。圧力を安全な一定のレベルに保つには、ボイルオフガスを処理する必要があり、ここでアトラスコプコの専門知識が活かされます。
「LNGプラントは危険な操業環境であり、事業者は、オペレータの知識が不足している未知の技術を導入する危険を冒したくありません。知識の不足はコスト効率にも影響します。機械が停止すれば製品を生産できなくなり、最終的な損益に大きな影響を及ぼします。安全性とコスト面の両方について、事業者がリスクを避けるのは当然のことです」とタッシャー・パテルは述べています。
この問題に対するアトラスコプコの主要な解決策の1つが、2019年に発売された高圧ボイルオフガスコンプレッサです。これは、1つのギアボックスとスキッド上で2つの極低温ステージと4つの高温ステージを組み合わせた初の処理機械です。このターボ機械は、小型で効率的な作業機械であり、6つのステージで業界最高レベルの処理能力を発揮します。
この革新技術を陰で支えるチームは、LNG市場向のギア一体型ターボコンプレッサを開発した豊富な経験から、この確立された技術を採用して、極低温高圧ボイルオフガス処理に対応しています。コンプレッサの信頼性と可用性は98%以上向上し、従来の技術と比較して大幅な節約効果を実現しています。これは、利益率が非常に低い業界にとって朗報です。
高圧ボイルオフガスコンプレッサ
主な機能: 1つのギアボックスとスキッド上で2つの極低温ステージと4つの高温ステージを組み合わせています。これにより、小型化、高効率化が可能となり、環境面のメリットも実現します。
優れた機能: ボイルオフガスを処理して、安全な一定のレベルで圧力を維持します。
用途: 世界各地の液化天然ガス(LNG)プラント
「このコンプレッサの開発は2017年に始まりました」と、ガスアンドプロセスソリューション研究開発担当VPのマイク・アンドリューは述べています。「タッシャーと彼のマーケティングチームは、業界の課題とニーズを明確にし、素晴らしい仕事をしてくれました。用途を確認し、お客様固有のニーズに対応するために、どのように技術を応用できるかをエンジニアと話し合い、新技術のリスクに対してお客様が不安を解消できるようにしました」
これまでのところ、この新しいソリューションに対するお客様の反応は良好です。
「これらの機械は従来の機械より保守が少なくて済むため、作業がはるかに楽になります」とタッシャーは述べています。「予備部品のコストと作業時間は以前のソリューションの半分になりました」
「LNGは従来から循環的であるため、大きな市場です」とタッシャーは述べています。「5年ごとに新しいプラントが建設されます。プラントへの投資と計画の決定後、建設と試運転に3~5年が費やされ、生産と輸送が始まります。その後、新規顧客の新しいサイクルがスタートします。現在、世界中で15のプラントが建設中です」
タッシャーは、高圧ボイルオフガスコンプレッサは、LNG生産業者だけでなく、LNGの輸入業者も利用できると付け加えています。
「輸入ターミナルで液化天然ガスを受け取ったら、気体のガスに戻して地上のパイプラインに送る必要がありますが、これが天然ガスを陸上輸送するための最適で最も安価な方法です。ここでも、このコンプレッサが重要な役割を果たします」
マイク・アンドリュースと、米国・ドイツの彼の開発チームにとって主な課題は、アトラスコプコの信頼性を維持しながら、特定の圧力比を備えた小型の機械を製造することですが、彼はこの難題を楽しんでいます。
「この仕事で気に入っているのは、課題が連続することです」と彼は述べています。「効率的な電力、機械的損失の軽減、オイル消費量の削減など、より良い方法を見つけることがしばしば求められますが、お客様と協力して、前よりも優れたソリューションを可能にすることがアトラスコプコの仕事です」
「私たちは、世界を良くするにはどうすればよいかについて常に考えています」とタッシャーは述べています。「世界は低コストのガスを必要としており、我々は、それを実現するお手伝いをしています」
効率的な電力、機械的損失の軽減、オイル消費量の削減など、より良い方法を見つけることがしばしば求められますが、お客様と協力して、前よりも優れたソリューションを可能にすることがアトラスコプコの仕事です」
マイク・アンドリュース
VP, ガスアンドプロセス研究開発部門
イノベーターの紹介
マイク・アンドリュース
ガスアンドプロセス
研究開発部門VP
高圧ボイルオフガスを簡潔に説明してください。
信頼性の高い顧客ソリューションです。
仕事のモチベーションとなるものは何ですか?
私は大学に在籍中の26年前にアトラスコプコで働き始めました。最初からこの会社が好きでした。実行したことが様々な側面を生み出すからです。ガスは何千回生産しても、全く同じものは生産できないため、ガスアンドプロセス部門の課題は絶えず変化しています。私たちは、今ある技術を活用しながら、付加価値を生み出しています。当社はソリューション企業であり、エンジニアとして非常に魅力的です。
タッシャー・パテル
南米/北米アトラスコプコ・ガスアンドプロセス部門マーケティング/セールスマネジャー
アトラスコプコに入社した理由は何ですか。
最初に私を魅了したのは、強力なブランドプレゼンスでした。入社できたことも良かったですが、重要なのは、ここで仕事を続ける理由です。私は製品を設計することが好きですが、当社のソリューションを駆使して、お客様の問題を解決することにも魅力を感じています。それが私の情熱です。すでに開発した製品を販売することはほとんどなく、私の仕事のほとんどは「カスタムオーダー」です。お客様の問題を解決し、「なるほど」と思えるような設計アイデアを考え出すことが、私にとって一番楽しい瞬間です。