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アトラスコプコグループの年刊発行誌
Sustainable technologies
成長への
入口
建設、接続性、グリーンエネルギーに継続的に注力しているため、世界第2位の経済大国の中国では、アトラスコプコに明るい未来が拓かれているようです。
1920年代に、中国でアトラスコプコ製品が初めて輸入、販売されましたが、当時、中国は貧しく、開発途上でした。それから100年後、この国は経済大国となりました。
中国の名目GDPは、米国の2018年GDPの66%に達し、世界第2位の経済大国となっています。2013年には最大の商品貿易国となり、2014年には購買力平価で世界最大の経済大国となりました。2020年には、Global Fortune 500企業のうち124社が中国に進出しています(米国は121社。初めて米国を上回りました)。また、海外直接投資(FDI)の受け入れ/供給で世界の上位2か国のうちの1つとなっています。
「すべてが光速で起こっています」と、アトラスコプコホールディングス大中華圏副社長のフランシス・リーケンスは述べています。
0世紀末に、中国は経済的奇跡を通じて、「世界の工場」となりました。その間、アトラスコプコ事業は当初の小規模から大幅に拡張され、現在では、中国が当社として2番目に大きな市場となっています。
新たな段階
1985年に北京に初めて駐在員事務所を開設してからわずか35年で、アトラスコプコは7つの製造施設、ハイテクR&Dセンター、大中華圏の全国的な販売およびサービス組織を運営するようになりました。そこで、5,500人以上が雇用されています。
都市化、国内消費の増加、継続的な技術の進歩による空気、水、生活環境の改善はすべて、地域全体でアトラスコプコのソリューション需要を牽引する基本的動向です。
「経済の主な推進力は、もはや生産ではなく、国内消費です」と、フランシスは指摘します。「中産階級が拡大し、可処分所得が増加するのに伴い、医療から旅行、観光に至るまで、需要が高まっています」
個人消費以外にも、主な経済推進要因として、中国政府が革新、新技術、クリーンな環境の促進に向けて導入した大規模なイニシアチブなどがあります。現在、中国は国内の研究開発投資で世界第2位となっており、再生可能エネルギーへの投資は、世界全体の約半分を占めています。
「環境重視の高まりに伴い、環境に配慮した高品質の製品に対する需要が増加しています。当社は、長年にわたって環境に注力してきたため、この動向は当社に有利です。企業は、高額でもエネルギー効率に優れた製品とソリューションを選択するようになっています」と、フランシスは説明します。
この国の経済の推進力はもはや生産ではなく、国内消費です」
フランシス・リーケンス
副社長
アトラスコプコ大中華圏
インフラ投資による機会創生
有名な政府イニシアチブに一帯一路構想があります。東と西を結ぶ古代の国際貿易路に沿って広域経済圏を作り上げるという、中国が打ち立てた巨大な世界的インフラプロジェクトです。
また彼は、2020年第1四半期の景気低迷の後、特に井戸掘削や「掘削と発破」のセグメントで、新しい機器やサービスに対する需要が急増していることも指摘しています。彼の見解では、従来のインフラ開発は将来的に継続していきます。
「既存の建造物の多くは、建設から20年以上と老朽化しており、改修が必要なため、修理と保守に対する需要が増加していくと考えています。また、環境に配慮した製品に対する需要も高まっています。その一例として、中国はオフロード機器のStage Ⅳディーゼル排出ガス基準移行を進めています。当社は、排出ガスを削減、またはゼロに抑える幅広い現場用機器とポータブル機器を取り揃えています」
建設セクターの活動が活性化していることを反映して、大型トラックやオフロード機器に対する需要が増加しています。さらに、複数の国内建設ブランドは、自動化とデジタル化に重点的に投資しています。これは、インダストリアルテクニークにとって好適な動向です。「当社のスマートアセンブリ製品は、この動向にうってつけです。そのため、カスタマイズされたスマートな接続ツールと生産フロー全体を改善する品質保証ソリューションによって、お客様を支援しています」と、アトラスコプコインダストリアルテクニーク中国事業部長のジャスティン・チョウは述べています。
ハイエンド生産を主導
中国は第14次5か年戦略計画を開始し、「世界の工場」から10の主要産業におけるハイエンド製品生産へと、製造業の発展に取り組んでいます。このような産業とは、IT、ロボット工学、航空宇宙、鉄道、グリーンエネルギー、低公害車、医療および医療機器などです。
「大規模で評判の高いサプライヤーとして、当社はエネルギー効率、環境保護、社会的責任など、中国企業がますます重視している分野に協力することができます」と、アトラスコプココンプレッサ事業部上海事業部長のフランク・リューは述べています。また、彼は市場の統合に向けた動向にも注目しています。
「メーカーや企業が大規模になるほど、要求がより高度で厳しくなっていきます。このいずれもが、当社にとって競争優位性です」
さらに、自動車業界の電動化トランスフォーメーション、中国でのデジタル化、自動化、スマート製造の急展開は、アトラスコプコの産業機器事業にも有利です。
「電気自動車、オフロード機器、電子機器、高速鉄道、風力エネルギーはすべて、ビジネスの原動力です」と、ジャスティン・チョウは言います。「その理由の1つは、関係当局が5G、人工知能、電気自動車の充電、高速鉄道、都市部の鉄道輸送など、将来的な戦略的分野で国内製造と投資を奨励していることです」
一帯一路構想などのインフラ投資、接続性の向上、自動車業界の電動化トランスフォーメーションなどが、アトラスコプコが中国で成長を達成する主な原動力となっています。
エリック・スパービー
地域事業部長、アトラスコプコパワーテクニーク中国
ジャスティン・チョウ
アトラスコプコインダストリアルテクニーク事業部長、上海貿易
ジャネット・レン
事業部長
ライボルト中国
フランク・リュー
事業部長、アトラスコプココンプレッサ事業部、上海貿易
エリック・リン
事業部長
エドワーズ台湾
中国は現在、世界最大の電気自動車市場で、2019年には120万台を売り上げました(ヨーロッパでは60万台、米国では30万台)。中国のEV市場シェアは、2019年の5%から2022年には11%以上にまで成長すると予想されます。
中国は2020年に3,780億米ドルを投資し、世界第2位の研究開発投資国となっています。2019年、中国は国際特許申請数で世界トップとなりました。
2019年、中国は再生可能エネルギーに834億米ドルを投資しました。これにより、中国が投資額で世界トップとなり、米国が555億米ドルで第2位、ヨーロッパが546億米ドルで第3位でした。中国は世界最大CO2排出国でもあります。
中国の国民一人当たりのGDPは、2019年に1万261米ドルでした。1985年には294米ドルでした。
中国の人口は14億人です。これは世界の全人口の18%に相当します。
主な推進力は接続性
この地域全体で、もう1つの重要な動向が接続性です。ますます多くのお客様が、接続性による生産上の利点に関心を示しています。
「各コンプレッサのデータをリアルタイムで監視・収集して、ダウンタイムを最小限に抑え、メンテナンスの必要性を予測し、省エネ対策を提案することで、お客様の生産パフォーマンスの最適化を支援しています」と、フランク・リューは述べています。
「パワーテクニークでは、稼働時間が重視される環境で、接続された機器の可能性を活用するお客様が増えています。ワイヤレスデータを介してメンテナンスの必要性を予測し、お客様の機器をリモートで整備して、お客様をサポートすることができます」と、エリック・スパービーは補足しました。
ジャスティン・チョウは、中国が製造工場を5Gに完全接続すべく、他国に先駆けて第一歩を踏み出したため、デジタル化の動向が今後も継続すると予測しています。「今後、スマート製造ソリューションが多数登場し、自動化、ロボット、コボット、マシンビジョンソリューション、データに基づくサービスがさらに進化していくでしょう」と、彼は述べています。
盛況な真空事業
接続性の改善は、半導体需要の増加につながります。大中華圏では、世界各地のエレクトロニクス産業向けにチップが大量に生産されています。さらに、フラットパネルディスプレイの生産、LED照明、バッテリ製造、ソーラーパネル、科学研究機器などが、大中華圏で当グループの真空事業を牽引する主な要因となっています。
エドワーズ台湾の事業部長エリック・リンは次のように説明します。「世界で電動化とデジタル化が進行するほど、半導体への依存度が高まります。アトラスコプコグループは、成長を続ける半導体業界で確固たる地位を確立しており、5G、人工知能、モノのインターネット、クラウドベースサービスの進展に伴い、着実に増加する需要に対応するために必要な専門知識と能力を備えています」
また、グループ企業のライボルト中国事業部長のジャネット・レンは、世界をリードするバッテリ、5G、太陽光発電業界の成長と技術のアップグレードに注目しています。
「ライボルトは、これらのセグメントの統合真空ソリューションのリーダーであり、研究開発に継続的に投資して、この地位を確保しています」と、彼女は言います。「さらに中国では、技術的なアップグレード、新技術、科学的研究への投資が増え続けています。国家的に革新能力を高めるため、今後もこの傾向は続くでしょう」
課題への対処
中国の事業会社は急成長を続ける中で、税金、環境、サイバーセキュリティ、知的財産保護などの分野で、法令順守の圧力が高まっていることに伴う課題にも直面しています。
「中国政府がこれらの分野で対策を強化しているのは明らかです」と、フランシス・リーケンスは言います。「この動向は、アトラスコプコに多大な利点をもたらします。当社はすでにすべての規制を遵守しており、この地域の競合他社が現在必要としている多額の投資は必要ありません。当社は、非常に高い倫理基準に従っていることでも知られています。これは、すべての市場で事業の差別化要因となっています」
フランシスは、大中華圏の経済見通しと今後の機会について非常に明るい展望を持っていますが、課題を無視しているわけではありません。
「市場は急速に変化しています。貿易紛争は、市場の低迷につながるおそれがあります。また、企業倫理の側面にも常に注意して見守っていく必要があります。しかし全体的には、機会が課題を明らかに上回ると考えています。中国は、当社にとって価値のある場所です」